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ピロリ菌ってどういった菌?

ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ:Helicobacter Pylori)は、胃の粘膜に生息する細菌で、胃炎や潰瘍、胃がんの原因となることがあります。本ページでは、ピロリ菌の特徴、感染経路、健康への影響、診断・治療法、除菌の重要性について、わかりやすく説明します。

ピロリ菌についての主なポイント

胃の粘膜に住む「病原菌」で、胃酸の中でも生き延びる能力があります。

主に幼少期に、親族や、汚染された水や食べ物を通じて感染します。日本では約3,500万人が感染していると推定されています。

多くの人は無症状ですが、ピロリ菌による胃の慢性炎症によって胃炎、潰瘍、胃がんのリスクを高めます。

内視鏡検査や呼気検査などを組み合わせて診断し、抗菌薬と胃酸抑制剤で除菌治療を行います。

除菌により胃炎や潰瘍の予防、胃がんリスクの低減が期待できます。除菌後も定期検査が必要です。

除菌は胃がんリスクを減らしますが、完全に0とはならないため、継続的な内視鏡検査が推奨されています。

ピロリ菌とは何ですか?

ピロリ菌とは、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pyloriの俗称です。

ピロリ菌は、胃の粘膜に生息する病原菌で、らせん状の形と数本のべん毛が特徴です。
このべん毛を回転させて胃の中を動き回ります。胃は強い酸性の胃酸で満たされていますが、ピロリ菌は「ウレアーゼ」という酵素を産生し、尿素を分解してアンモニアを作り出します。
このアンモニアが胃酸を中和し、ピロリ菌が胃の中で生き延びる環境を整えています。

ピロリ菌の名前は、その発見部位である胃の出口(幽門、ピロルス)に由来しています。
「ヘリコ」とは「らせん」を意味し、ヘリコプターのように回転するべん毛を表しています。1983年にオーストラリアの研究者マーシャルとウォーレンによって発見され、2005年にノーベル医学生理学賞を受賞するほどの重要な発見でした。

ピロリ菌はいつ、どうやって感染しますか?

ピロリ菌の感染経路は完全には解明されていませんが、汚染された水や食べ物、または感染者の唾液などを通じて口から感染すると考えられています。
特に幼少期に感染しやすく、衛生環境が整っていない地域や時代に育った人々の感染率が高い傾向があります。いったんピロリ菌が胃に感染すると、そのまま胃に定着し、一生感染が持続するとされています。

・経口感染:汚染された水や食べ物を通じて口から感染
・人から人への感染:感染者の唾液や便を介して感染(例:不衛生な環境での接触)
・環境要因:衛生環境が整っていない地域や家庭での感染リスクが高い

日本では、上下水道が普及する前の世代で感染率が高く、日本では約3,500万人が感染していると推定されています。

ピロリ菌の感染による健康への影響

ピロリ菌に感染しても、ほとんどの人は症状を感じることはありません。

しかし、感染が続くと胃の粘膜に炎症(慢性胃炎)を引き起こします。長期間放置すると、胃の粘膜が萎縮する萎縮性胃炎や、胃潰瘍、十二指腸潰瘍が発生する可能性があります。さらに、ピロリ菌は胃がんの主要なリスク要因の一つで、感染者の一部で胃がんが発生する可能性があります(ピロリ菌に感染した人が全員胃癌になるわけではありません)。
ピロリ菌感染は、消化器疾患では、胃・十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、萎縮性胃炎、胃癌、胃過形成性ポリープ、機能性ディスペプシアなどと関係するとされています。消化器外疾患では、免疫性(特発性)血小板減少性紫斑病(ITP)、鉄欠乏性貧血(特に小児の場合)、慢性蕁麻疹などと関係すると報告されています。
動物実験では、感染後であっても早期に除菌すればするほど胃癌発症の危険度をほぼゼロにすることができると報告されています。

WHO(世界保健機構)は1994年にピロリ菌を「発がん物質」として認定しています。
また、2014年には「胃がんの80%以上はピロリ菌が原因であり除菌によって胃がん発症を30-40%減少させることができる」とも発表しています。

ピロリ菌の感染診断と治療

当院で行うことのできるピロリ菌の感染診断には、以下のような方法があります。

尿素呼気試験,便中ピロリ抗原検査は感度・特異度が高く有用とされています。
ピロリ菌の除菌治療は、抗菌薬と胃酸分泌を抑える薬を組み合わせた治療が一般的です。治療期間は約1週間で成功率は高いです(ボノプラザンという薬を用いた場合、一次除菌で92.6%、二次除菌まで含めると99.85%が成功すると報告されています)。
治療後には、除菌が成功しているかどうかのための再検査が必要です。

ピロリ菌の除菌の重要性

ピロリ菌を除菌することで、胃炎の改善、潰瘍の予防、胃がんリスクの低減が期待できます。
日本では、2013年以降、ピロリ菌感染胃炎と診断できれば、保険診療で除菌治療が受けられます。
ただし、除菌後も萎縮性胃炎がある場合は胃がんのリスクが残るため、定期的な内視鏡検査が推奨されています。

おわりに

ピロリ菌は、胃炎、潰瘍、胃がんの原因となる病原菌です。
適切な診断と除菌治療により、そのリスクを大幅に減らすことができます。
胃の不調がある場合や、感染が疑われる場合は、お気軽に当院までご相談ください。

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