痛くない大腸内視鏡検査
便潜血検査で「陽性」という結果は、便に血液が混じっていることを示すサインです。出血の原因は痔などの良性疾患から、大腸ポリープ・大腸がんまで幅広く、便潜血検査だけでは原因を特定することはできません。
「陽性」はすぐに「がん確定」ではありません。しかし、原因を確かめずに放置することは、早期発見・早期治療の大切なチャンスを逃すことにつながります。便潜血検査によるがん検診は、「大腸カメラによる精密検査までを含めて、はじめて一連の大腸がん検診として完結します。」
オリンパスが全国18,800人を対象に実施した調査によると、便潜血検査で陽性(要精密検査)になった方のうち、14.4%がその後も大腸内視鏡による精密検査を受けていないことがわかっています。特に女性40代では4人に1人(26.6%)が未受診でした。 出典:オリンパス「胃・大腸がん検診と内視鏡検査に関する意識調査白書2021」(n=2,145 陽性経験者)
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■ 資格
- 日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医
- 日本肝臓学会 肝臓専門医
- 日本消化器病学会 消化器病専門医
- 日本消化器がん検診学会 消化器がん検診総合認定医
- 日本ヘリコバクター学会 H.pylori(ピロリ菌)感染症認定医
- 日本人間ドック・予防医療学会 人間ドック・予防医療学会認定医、人間ドック健診情報管理指導士
- さいたま市 難病指定医(消化器内科)
■ 所属学会
- 日本内科学会
- 日本肝臓学会
- 日本消化管学会
- 日本消化器病学会
- 日本消化器内視鏡学会
- 日本消化器がん検診学会
- 日本ヘリコバクター学会
- 日本人間ドック・予防医療学会
- 日本不整脈心電学会
便潜血検査(FIT)について
便潜血検査(FIT:fecal immunochemical test)は、便に含まれるヒトのヘモグロビンを抗体反応で検出する検査です。食事制限が不要で体への負担も少なく、自治体の大腸がん検診や職域健診で広く使われています。
大腸がんがあっても出血は毎日一定量起きるとは限らないため、通常は「2日法」として2日分の便を採取し、検査の感度を高めています。2日法の感度は88.0%で、1日法(67.9%)より見逃しを大幅に減らせます。
出典:Nakama H, et al. Dis Colon Rectum. 1997;40(7):781-4.便潜血陽性の主な原因
出血の原因は「大腸」だけでなく、肛門を含む広い範囲が考えられます。どれが原因であれ、特定には大腸カメラが必要です。
痔(いぼ痔・切れ痔)
最も多い原因のひとつ。ただし痔があっても、大腸の病変を否定することはできません。
大腸ポリープ(腺腫)
将来的にがん化するリスクのある前がん病変。早期切除が大腸がん予防につながります。
大腸がん
早期であれば内視鏡での治療が可能。症状が出てからでは進行していることも多いです。
大腸炎・感染性腸炎
感染性腸炎・虚血性腸炎など。カンピロバクター・O-157なども原因になります。
炎症性腸疾患
潰瘍性大腸炎・クローン病など。慢性的な炎症により繰り返し出血することがあります。
| 血便の見た目・状態 | 疑われる出血部位 | 主な疾患例 |
|---|---|---|
| 鮮やかな赤い血(鮮血) | 肛門・直腸など下部大腸 | 痔・直腸がん・直腸ポリープ |
| 暗赤色〜赤黒い血 | 大腸の上部側 | 大腸憩室出血・大腸がん |
| 黒っぽいタール便 | 胃・小腸など上部消化管 | 胃潰瘍・十二指腸潰瘍 |
| 肉眼では見えない(便潜血のみ陽性) | 大腸全体・肛門 | 早期大腸がん・ポリープ・痔など |
精密検査をしない理由、本当に大丈夫ですか?
なったかもしれないから」
なかったから」
つらそうだから」
気になったから」
これらはすべて、「たぶん大丈夫」という思い込みから生まれる判断です。一つひとつ、正しい理解と照らし合わせてみましょう。
「痔があるから、きっと痔のせいで陽性になった」(39.6%がこう判断)
痔があること自体は珍しくありませんが、痔の存在は大腸の病変を否定する根拠にはなりません。痔と大腸の病変が同時に存在することもあります。
「症状がないから、たぶん大丈夫」(30.5%がこう判断)
大腸がんや大腸ポリープは、早期ほど自覚症状がほとんどありません。オリンパス調査でも「大腸がんが早期発見・早期治療で90%以上治ること」を正しく知っていたのはわずか24.0%でした。
「大腸カメラは痛くてつらい。受けたくない」(16.6%がこう感じている)
大腸の内視鏡検査に「つらいイメージ」を持つ方は86.5%(オリンパス調査)と多い一方、実際に受けた方の35.4%が「想像より楽だった」と回答しています。現在は鎮静剤を使用した検査が一般的です。
「もう一度便潜血をやり直して、陰性なら受けなくていい」
大腸がんがあっても毎日出血するとは限りません。再検査で陰性でも病変がないとは言えず、「1度でも陽性になった事実」が重要です。
「生理中だったから、そのせいで陽性になったんだと思う」
生理中の出血で陽性になることはありますが、それで大腸に問題がないとは断定できません。原因の特定には大腸カメラが必要です。
「1回だけ陽性だから、2回とも陽性の人よりは軽いはず」
2日法で1回でも陽性なら精密検査の対象です。大腸がんは毎回出血するとは限らないため、1回の陽性にも十分な意味があります。
未来を守るために「大腸カメラ検査」を受けましょう!
大腸がん ステージ別・5年生存率
同じ大腸がんでも、発見時のステージによって予後は大きく変わります。早期(ステージⅠ)で見つかれば、5年生存率は約90%をこえます。しかし進行すると急激に下がります。
大腸がんの多くは大腸ポリープがゆっくりとがん化することで発生します。内視鏡検査でポリープを早期に切除すると、将来の大腸がんリスクが低下することが示されています。便潜血陽性は「がんの前段階を発見するチャンス」でもあります。
さらに、オリンパスの調査では、大腸がんが早期発見・早期治療で90%以上治ることを正しく認識していた人はわずか24.0%でした。多くの方が、大腸がんの治癒率を実際より低く見積もっているのが現状です。
出典:オリンパス意識調査白書2021(n=18,800)
大腸カメラへの正直なQ&A
「怖い」「つらそう」「恥ずかしい」。そういった声に、一つひとつ向き合います。
持っている
大変」と感じている
高い・信頼できる」
「想像より楽だった」
当院の大腸カメラへのこだわり
患者さまの「怖い・つらい・恥ずかしい」に、一つひとつ向き合っています。
鎮静剤を使用した
「眠ってできる」検査
うとうとした状態で検査を受けていただけます。「実際に受けたら想像より楽だった」という方が多く、以前の検査でつらかった方にも安心です。
炭酸ガス送気で
お腹の張りを軽減
通常の空気ではなく炭酸ガスを使用するため、検査後のお腹の張り・不快感を大幅に軽減します。炭酸ガスは腸に速やかに吸収されます。
ポリープは
同日切除に対応
検査中にポリープが見つかり、安全に切除可能と判断されれば同日中にその場で切除。再来院が不要で、患者さまの負担を軽減します。
プライバシーに配慮した
個室下剤室
前処置(下剤服用)は個室トイレ付きの専用室で行えます。「恥ずかしい」という気持ちに配慮し、落ち着いた空間で安心してご準備いただけます。
胃カメラと
同日検査も可能
胃内視鏡検査(胃カメラ)と大腸カメラを同日に実施できます。一度の受診で2つの検査が完了するため、お忙しい方にも対応しています。
土曜日も
内視鏡検査に対応
平日お仕事が忙しい方でも受診しやすいよう、土曜日も大腸内視鏡検査を行っています。検査を先延ばしにしない体制を整えています。
費用・保険・当日の流れ
便潜血検査が陽性となり、医師が精密検査を必要と判断した場合、大腸内視鏡検査には健康保険が適用されます。症状がない場合でも保険診療として受けることができます。費用の3割のみご負担いただきます(年齢・所得により1〜2割の場合もあります)。
3割負担の場合の費用目安
当日の流れ
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STEP01検査日の前に
事前診察・予約
外来を受診いただき、医師から検査の詳しい説明を受けていただきます。現在服用中のお薬(特に抗凝固薬・抗血小板薬)がある場合は必ずお伝えください。
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STEP02検査前日
食事制限と前日下剤の服用
検査前日は消化の良い食事をとっていただき、夕食後から翌朝まで絶食となります。就寝前に下剤(錠剤)を服用していただきます。
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STEP03検査当日の朝
腸管洗浄剤(下剤)の服用
検査の4〜5時間前から腸管洗浄剤を服用していただきます。当院ではプライバシーに配慮した個室トイレ付き専用室でご準備いただけます。
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STEP04検査本番
大腸内視鏡検査(40〜60分)
鎮静剤を使用し、うとうとした状態で検査が進みます。炭酸ガスを使用するため検査後のお腹の張りも最小限。ポリープが見つかれば状況に応じてその場で切除します。
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STEP05検査後
リカバリー・結果説明(計2〜3時間)
安静にお休みいただいた後(30〜60分)、医師が検査画像をお見せしながらわかりやすくご説明します。当日は車・バイクの運転はご遠慮ください。
受診をお迷いの方へ
便潜血検査で「陽性」という結果を受け取り、不安やおそれを感じていらっしゃる方も多いかと思います。
ただ、便潜血陽性だからといって、すぐに重い病気があると決まるわけではありません。実際に検査を受けても異常が見つからないこともあります。むしろ検査を受けることで「大腸に問題なし」という確かな安心を得ることができます。
一方で、大腸がんや大腸ポリープは早期ほど症状がありません。早期(ステージⅠ)で見つかれば5年生存率は約90%をこえます。早期発見こそが、何より重要です。
「大腸カメラはつらそう」「恥ずかしい」——そういった気持ちに寄り添えるよう、当院では鎮静剤の使用・個室の前処置室など、できる限り快適に受けていただける環境を整えています。まずは「話を聞くだけ」でも構いません。
便潜血陽性は、大腸がんを早期発見するチャンスをもらったサインです。ご自身と大切なご家族の未来のために、ぜひ一歩を踏み出してください。
内科・消化器内科(内視鏡)受付時間 8:45〜18:00(日・祝除く)
