コラム
整形外科で使う「エコー」と「レントゲン」、何がどう違うの?
整形外科を受診すると、「まずレントゲンを撮りましょう」と案内されることが多いですが、痛みが続いたり腱・筋肉に関わる異常が疑われる場合には、 エコー(超音波検査) が有効になるケースもあります。
「レントゲンで見えるもの・見えないもの」「エコーで得られる情報」「実際にどんな場面で使われるか」をお伝えします。
レントゲン(X線)は“骨をみる”
- X線は放射線を使って体を透過させ、骨や硬い構造を白く写すことが得意です。関節のずれ、骨折、骨の変形やアライメント(骨の配列)を把握するのに基本的な検査です。
- 筋肉・靱帯・腱・滑液(水)などの軟部組織はコントラストが低いため、形や状態を詳しく見るのは苦手です。
- 放射線を用いるため被ばくの要素はありますが、通常の診療レベルでは非常に少量です。

エコー(超音波検査)が補う部分
- エコーは高周波の音波を使って、体内の組織から反射される信号をリアルタイムに画像化します。これにより、 筋・腱・靭帯、 滑液・関節水腫、 腱板断裂 などの軟部組織の異常を観察できます。
- 動きをつけながら観察することもできるので、「痛みが出る角度」でどう変化するかをその場で確認することも可能です。
- 放射線を使わないので安全性が高く、妊婦さんや繰り返し検査を必要とする場合にも向きます。

整形外科で実際に使われる場面例
- レントゲンで骨折や骨の異常をまずチェック → 異常が見つかれば対応
- レントゲンで明らかな骨の異常がなかったが痛みが残る → エコーで腱炎・腱断裂・靱帯損傷・関節水腫などを評価
- 注射やブロック治療を行う際、針の位置をエコーで確認しながら行う
- 日常的な筋・腱トラブル診断:肩・肘・膝・足首など、比較的表層近くで問題が起きやすい部位での活用
まとめ
レントゲンとエコーは、それぞれ得意な領域が異なるため“どちらか片方だけ”では、見落としが出る可能性があります。
整形外科ではまず骨をチェックし、筋・腱・靭帯といった軟部組織の異常はエコーで補う、という組み合わせが理想です。
検査の選択肢が多いということは、より精度の高い診断・治療につながります。
