コラム
血圧ってなに?健診でみつかるサイン
健診のとき、血圧は多くの方が測定すると思います。
でも、そもそも血圧って何のために測っているの? と思ったことはありませんか。

血圧とは、心臓が血液を全身に送り出すときの「血管への圧力」のことです。
この圧力が高すぎたり低すぎたりすると、体にさまざまな不調や病気のリスクが生まれます。
つまり、血圧は“体の今”を知る大切なサインなのです!

上と下の数字、なにが違うの?
健診の結果で「上が〇〇、下が△△」と言われるのは、「収縮期血圧(上の血圧)」と「拡張期血圧(下の血圧)」という2つの値です。
◎収縮期血圧(上の血圧):心臓が縮んで血液を押し出すときの圧力
◎拡張期血圧(下の血圧):心臓がゆるんで血液をためているときの圧力
高血圧管理・治療ガイドライン(JSH2025)では、上の血圧が140、下の血圧が90を超えると高血圧と定義されています。
当院の判定では、上の血圧が160、下の血圧が100を超えると精密検査または要治療判定です。
上の血圧が高い、下の血圧が高いってどういうこと?
血圧測定をしていて、上の血圧が高いですね~、いつも高めですか?なんてこと言われたことないでしょうか。そもそも上の血圧が高いってどういうこと、どんな状態なの?と疑問に思った方も多いと思います。
上の血圧が高いと、血管に強い圧力がかかっている状態です。
その状態が続くと、血管が硬くなり(動脈硬化)、放っておくと脳梗塞や心筋梗塞または心不全のリスクが高くなります。下の血圧が高いと、心臓が休んでいる間も血管が圧迫されている状態です。
比較的若い人に多いタイプの高血圧です。血管の抵抗が強く、心臓への負荷が増えるので、心臓病や腎臓病のリスクが高くなります。
反対に血圧が低いとは、上の血圧が100未満、下の血圧が60未満の場合に低血圧として定義されています。
低血圧は女性に多く、起立性低血圧や慢性低血圧といった種類があります。
症状がない場合問題のないケースが多いですが、めまい、立ちくらみ、倦怠感(だるさ)、食欲不振など、日常生活に支障があれば受診の目安となります。
高血圧の何がこわいの?
高血圧は気づかないうちに、体のさまざまなところで怖い病気が進行していくことから、
高血圧=「サイレントキラー」=沈黙の殺し屋と言われます。
高血圧が続くと、以下のような病気のリスクが高まります:

〇脳梗塞・脳出血
〇心筋梗塞・心不全
〇腎臓病(慢性腎臓病)
〇動脈硬化
症状が現れた時にはすでに合併症が進行していると考えられます。重症の高血圧が長く続くと、自覚症状が出てきますが、そのときはすでに、合併症の病気がもたらす症状が体の異常を知らせています。
動脈硬化が進行して心臓に負担がかかっていると、動機、息切れ、むくみ、胸痛などが表れ、さらに脳で異常が進行していると、激しい頭痛、吐き気、痙攣などが起こり、腎障害が進んでいると、むくみ、頻尿、多尿、乏尿などが現れます。
血圧を整える生活習慣とは?
血圧は日々の習慣で改善できることが多いです。たとえば、、、
◎塩分を控える(1日6g未満を目標に)
◎野菜や果物を意識してとる
◎軽い運動を習慣にする(ウォーキングなど
◎お酒は控えめに
◎十分な睡眠とストレスケアを心がける
塩分をとり過ぎると血圧が高くなります。
塩分のとり過ぎは血液の塩分濃度を高めるように働きますが、ヒトのからだはそれを防ぐために、細胞の中の水分を血液に移行させて、血液の塩分濃度が上がらないようします。すると、血液の量が増えます。そして血液の量が多ければ多いほど、血管の壁には強い力がかかってしまう、つまり、血圧が高くなってしまいます。また、塩分のとり過ぎは、血管を収縮させるホルモンの反応を高めることでも、血圧を高くします。
高血圧の予防には、減塩が第一です。
また、太り気味の場合は減量が大切です。肥満、とくに内臓脂肪型肥満では腹腔内の脂肪組織から血圧を上げる成分がたくさん分泌されてきます。ですから体重を適正にすると、血圧も正常に近付いてきます。そのうえ、糖尿病や脂質異常症(高脂血症)などの改善効果も得られます。これらの病気はすべて血管の障害を促す原因ですから、減量は高血圧だけでなく生活習慣病全般に、とても効率の良い治療法だと言えます。
減塩や減量と同時に、からだを動かす習慣を身に付けることもお勧めします。からだを動かすことは、体重管理のうえでも必要ですが、それとともに血行を良くして血圧を下げる効果があります。ただ、血圧がかなり高い場合は、運動中に血圧が高くなり過ぎて倒れてしまう可能性もあるので、無理は禁物です。
このほか、禁煙を心掛け、アルコールの飲み過ぎに注意しましょう。

最後に
血圧の異常は「今すぐ症状が出る」わけではないぶん、見逃されがちです。
だからこそ、健康診断は大切な発見のチャンスです。
当院の健診で、血圧のチェックをしてみませんか?
血圧という体からのサインを見逃さず、健康への第一歩を一緒に踏み出しましょう!